鉄路の向こうに
鉄路の向こうに
行くことができない。
友達も親戚も
鉄路の向こうに暮らしている。
けれど
もう
この路では行くことができない。
鉄錆びた路の向こうに進むには
20年過去へ遡らないと。
駅舎も無くなった。
病院も無くなった。
学校も無くなった。
小学校も中学校も高校も
僕の母校は
すべて無くなった。
学校も病院も無い町に
どうして暮らすことができようか。
無医村をなくして分校を建てて
明日を夢見た頃との違いは何だろう。
線路は
どこまでも続かない。
めくられて
枕木は朽ち果てた。
僕に帰る家はない。
僕に帰る路はない。
僕に帰る故郷は無い。
錆びた鉄路では
故郷に
帰れない。
新しい路を探すしかない。