色々お絵描き帳

create-cg 色々屋清兵衛のお絵描き色々、紙の上の手描きからパソコンで加工、CGの作画、その工程とラフスケッチなど、高齢者のつぶやきです。

27歳の地平 (1)

あの暑い七月の日曜日


西日のあたる古いアパートの部屋で
貴方と初めて過ごした時間。


汗まみれになったのは二匹の獣たち。



息が止まるほどの刹那
気の遠くなるほどの息苦しさ

窓の下のどぶ川に流れ落ちる水
ダンプが通ると揺れる部屋
棚の音が虚ろに聞こえていた。


止まった時間
黄昏色の意識


細いブロック塀の上で泣く黒猫が
二人を現実に引き戻した。


そして巡り合った時間
記憶は巻き戻したけれど
あの日は戻らない。


ひとりごと
27歳の頃に戻りました(^^)
このシリーズは少し危ない表現を含みます。
・・・お子様は見ないでください(^^:
すいません、ず~~~~~~~~~~っと昔の話です(笑

夏の別れ

・・・と書いたが見たら
彼女との別れやと思うがい。


なんもちごげ。
夏に別れやあっただけやわいね。


馴染みのスナックのママや
店閉めて遠いとこ行くがになったげ。


気のそろた小学校の校長先生とママと
3人して月末土曜日の夜にカラオケ歌て
夜中の3時4時と飲んどったぎわいね。


3人とも一緒くらいな齢で
歌うが昔のフォークソングやった。

        『夏の別れ』 CG


ママ
そくさいかね?


たんだ
そんだけの話やったぎ
なんももだかる話とちご


スナックも閉めたまんまやし
なんか あいそむない。


行くとこ無いがなって
しょむない気分や。


5年前のこと
寂しい夏やったぞいね。


ととのわん話やったね。

母子像 (2)

その翌年だったかな。
幼馴染のトッペさんが、またやって来た。


「清兵衛さん、また産まれたわ」
「また描くのかい?」
「こんだ次女の子、女の子なぎ」
「おぉ、良かったがいね」
「上の子の時だけ描いたらダメやろ」
「おぉ、また100万円やぞ」
・・・


また写真を撮りに行って
何枚かのスケッチを重ねて
描きあげた(^^

   母子像 (2) F6 キャンバスにアクリル絵の具


女の子を抱える母親の手を
優しく描きたかった。
大切な宝ものを抱くように
子どもを見つめる目が愛おしかった。


なんだかね
描いているうちに
だんだん、涙が出てくるん


なしてやろ?


わからんぎけど
いつの間にか涙が出てもうて


バァちゃんから娘、ほんで孫
愛しげなぁ~


気ゃついたらね
還暦過ぎたオッチャン泣いとるげん
自分で笑うてしもうたわいね(^^


絵 描いとって
涙どま出たてが
初めてやったぞいね(^^;


方言で読みにくい
方言で文章書くてが
まんで難しい・・・

母子像 (1)

人間の愚かさは幾つになっても変らない・・・
というか、


私の愚かさは、幾つになっても変らない。
他の人を、「愚かな私の世界」に巻き込むな!(笑)


陰と陽、美と醜、善と悪、・・・
心の中に極端な2面性がある私なのだよ(--;


で、その醜悪な1面を吐き出すと
私は陽気で美しい善人になれる・・・ような気がする(^^ゞ


そんなある日のこと
幼馴染が還暦を過ぎてやってきた。


「清兵衛さん、あて初孫できたんよ」
「ほ~、そりゃ~めでたいこっちゃ!」
「あんた、あての孫の絵 描いてくだいまね」
「イイよ、絵、描いたるわ」
・・・どこの方言だ?(笑)


というわけで母子像を描いてみた。

   母子像 (1) F6 キャンバスにアクリル絵の具


生まれて初めてのこと
そう、私にとって母子像を描くのは初めてのことだった。


基本的に、絵描きでない私は
あまり絵を発表しないし
絵も売らないし、営業もしないので
依頼されて絵を描くことが殆ど無い。


幼馴染は、小学生の頃の私が絵を描いていたという
記憶とイメージで依頼しにきた気がする(^^;


写真を撮りにいって何枚かの下絵を描いて
何とか描きあげた。


う~ん
母子像というのは不思議なもので
描く私も優しい気持ちに成れるものだった(^^)


陰気で醜悪な私の魂が
浄化されていくという、
生まれて初めての経験をした。


幼馴染は大喜びで自分の部屋に飾った。
その笑顔が羨ましくて羨ましくて
「描き代は100万円」
と言いそうになった。


そこは
理性で押しとどめたが、
私も孫が欲しい!と
当時、まだ結婚していない娘に言いたくなった(笑)

毒を吐き出す (2)

2年ほど銅版画を学びに通ったが
講師の女先生と一人の生徒がイチャイチャしだし、
教室に隠微な空気が漂うようになっていった(--;


教室が学ぶ雰囲気じゃなくなったので
同じく不快そうな女性と話し合って
一緒に退会した。


そのせいでもないけど
オールヌードのエッチングができた。


      『人模様 (2)』 銅版画

              少し荒いが
        今でも好きな絵の一枚だ。

    変な絵を描く若者として
教室でも異端だった・・・と思う。


仲間に入れない暗い無口なヤツ
教室に居なくても良かったのかもしれない。


私はどこにいても
絵が描ければ良かっただけだった。


エッチングは面白かったが
あの雰囲気の教室では気持ちが萎えてしまった。

エッチなことをするからエッチングではないぞ、
・・・
オヤジギャグを言う場でもなかった(^^;


仕事と暮らしの中で
抑圧された何かがくすぶっていた。


無視することも
解決することもできないまま


27歳の若者の心の中で
不条理な出来事は身近に溢れていた。


そんな毒を飲み込むしかない日常でも
絵の中では吐き出すことができる。
思いっきり大声で叫ぶことができる!


絵を描くことで
かろうじて
平静を装うことができた(^^;


この先
どうやって生きていけば良いのか
分からない。


外の世界からも 
心の内側からも攪拌されて
グツグツと醗酵するように


目に映る・・・27歳の地平は歪んで見えた。



このシリーズは
何枚か描いたけれど
手元に残っていないのが残念。