毒を吐き出す (2)
2年ほど銅版画を学びに通ったが
講師の女先生と一人の生徒がイチャイチャしだし、
教室に隠微な空気が漂うようになっていった(--;
教室が学ぶ雰囲気じゃなくなったので
同じく不快そうな女性と話し合って
一緒に退会した。
そのせいでもないけど
オールヌードのエッチングができた。
『人模様 (2)』 銅版画
少し荒いが
今でも好きな絵の一枚だ。
変な絵を描く若者として
教室でも異端だった・・・と思う。
仲間に入れない暗い無口なヤツ
教室に居なくても良かったのかもしれない。
私はどこにいても
絵が描ければ良かっただけだった。
エッチングは面白かったが
あの雰囲気の教室では気持ちが萎えてしまった。
エッチなことをするからエッチングではないぞ、
・・・
オヤジギャグを言う場でもなかった(^^;
仕事と暮らしの中で
抑圧された何かがくすぶっていた。
無視することも
解決することもできないまま
27歳の若者の心の中で
不条理な出来事は身近に溢れていた。
そんな毒を飲み込むしかない日常でも
絵の中では吐き出すことができる。
思いっきり大声で叫ぶことができる!
絵を描くことで
かろうじて
平静を装うことができた(^^;
この先
どうやって生きていけば良いのか
分からない。
外の世界からも
心の内側からも攪拌されて
グツグツと醗酵するように
目に映る・・・27歳の地平は歪んで見えた。
このシリーズは
何枚か描いたけれど
手元に残っていないのが残念。